[2014年9月18日]
韓国も屋外禁煙ばかり-中央日報
2004年8月26日、憲法裁判所は嫌煙権(たばこの煙を拒否できる権利)と喫煙権をともに基本権と認めた。両権利ともに憲法で保障する幸福追及権(10条)と私生活の自由(17条)に該当すると見なしたのだ。ただ、嫌煙権は生命権まで包括するため、喫煙権より優先される基本権と判断した。この決定は国が喫煙を規制する強力な根拠となった。同年、アイルランド議会は病院・学校だけでなく酒場での喫煙も禁止する法案を通過させた。室内禁煙エリアの拡大は1、2年間に欧州全域に拡大した。
「屋根があるところで喫煙できない」という原則が欧州で常識になったが、韓国の禁煙エリア政策は相対的に消極的だった。しかし2010年、地方自治体が条例で室外禁煙エリアを指定できるようになり、政策に弾みがつき始めた。ソウル市は「クリーンソウル」「禁煙ソウル(Smoke-Free Seoul)」などのスローガンを掲げ、広場・公園など象徴的な場所を禁煙エリア化した。2011年3月に光化門広場-清渓川-ソウル広場とつながる広大な禁煙エリアが形成された。漢城大のイ・チャンウォン教授(行政学)は「室外は飲食店とは違い、財産権の問題から自由であるため反発が少なく、地方自治体がより容易に対象を拡大することができた」とし「国民の健康という名分も明確であるため、地方自治体間の競争が触発された」と説明した。ソウル市は中央車道にあるバス停留場を禁煙エリアに指定した。新道林には誰かが停留場で喫煙すれば警告メッセージを放送できるよう「禁煙ベル」も設置された。
2012年にはさらに劇的な変化が生まれた。ソウル瑞草区と江南区が相次いでソウル最大の商圏である江南大路で喫煙を禁止した。続いて大路沿いの1000平方メートル以上の建物も禁煙エリアに編入された。瑞草区のクォン・ヨンヒョン保健所長は「室外の受動喫煙経験率がまだ81%(2013年基準)に達するため、禁煙エリアをさらに拡大する」と述べた。ソウル市によると、2011年に673カ所だった室外禁煙エリアは今年は9439カ所と14倍に増えた。
16日に江南大路で会ったアン・ソンファンさん(28)は「毎日通るここでいつもたばこを吸っていたが、今は我慢して、禁煙エリアが終わる良才洞に来てからたばこの箱を取り出す」と話した。アンさんは「喫煙により大きな影響を与えたのはネットカフェや飲食店の禁煙」とし「実際、最近は喫煙量が一日4、5本に減った」と述べた。付近に職場がある非喫煙者キム・ヘリさん(26、女性)は「室外であれ室内であれ禁煙空間がはっきりとしているのはよい」としながらも「大きなビルの周りの緑地が喫煙空間に変わるのは問題がある」と話した。
欧米が室内禁煙を強化し、室外喫煙には寛容な姿勢を見せているのに対し、ソウルは室外禁煙エリアが急速に拡張され、室内が後回しとなっている。昨年から徐々に施行された飲食店内の禁煙政策が代表例だ。ソウル市のキム・チャンボ保健政策官は「韓国は室内と室外の禁煙が特定の方向なく混在している」とし「室外禁煙エリアの拡大は速度の調節が必要であり、室内については段階的によく多くのエリアを検討する必要がある」と述べた。また「江南大路や光化門広場を禁煙エリアにしたところ、その影響で広場の向かい側の横断歩道の前が『暗黙的喫煙空間』に変わったりもする」と話した。
憲法裁判所が基本権と認めた喫煙権をどう嫌煙権と調和させるかも課題に浮上している。シン・ミンヒョン韓国たばこ消費者協会会長は「喫煙者を無条件に追い出せば、新しい喫煙エリアが生じるうえ、禁煙政策に対する抵抗も強まる」と話した。
禁煙エリア問題は「プライバシー(私生活)論争」に飛び火することもある。ソウル市は2007年から2012年まで禁煙マンションを指定し、予算を支援した。ソウル市の関係者は「マンションが禁煙空間として一般化すれば、これは個人のライフスタイルだけでなく財産権にも大きな影響を及ぼすことになるだろう」と述べた。