[2015年8月6日]
東京都 受動喫煙検討会は何だったのかー事務局長コラム
東京都の受動喫煙検討会は、結局、受動喫煙防止条例制定を提言できずに終了した。
そもそも、委員12人のうち、9人が推進派だったことが原因だ。どうして、バランスをとった人員構成にできなかったのか。
業界団体の聴取では、ほぼ全員が反対だった。
条例制定推進派は、近年のオリンピックでは、すべての開催国で受動喫煙防止政策をとっているから、東京オリンピックでも受動喫煙防止策をとることを訴えた。
しかし、日本の分煙状況は異なる。すでに路上喫煙禁止条例があるため、室内を規定とした、受動喫煙防止条例を規定すると、室内、屋外ともに、喫煙が制限される状況となる。
海外では、屋内禁煙、屋外喫煙自由が一般的である。
中国では、五輪開催時に、室内禁煙、屋外喫煙可の条例が制定されたが、結局、屋外喫煙が増えただけとの批判が上がった。
方や日本では、室内でも分煙しているカフェ、レストランが多くみられる。
たとえば、ファーストフードでいえば、マクドナルドは全面禁煙だが、モスバーガーは、喫煙室を設け、完全分煙。
また、スターバックスコーヒーは外のテラス以外は喫煙不可だが、タリーズコーヒーは完全分煙である。
マクドナルドが、前年比20パーセント以上の売り上げを減少させているというが、これは成人喫煙率19.6%とほぼ同じだ。そもそも、マクドナルドは、低価格で喫茶店のようにくつろげる空間だった。これは、愛煙家は来なくてもかまわないという姿勢の表れだと言わざるを得ない。私はもちろん喫煙者だが、一服ができない喫茶店ならば、喫煙できるレストランを選ぶ。
話を戻して、東京都の受動喫煙検討会だが、結局、医学関係者ばかりで、実際の経済活動を何も分かっておらず、ただ健康に悪いから規制すべきだとの議論だけが先行したと思う。
愛煙家だって、100パーセント煙草が健康にいいなんて思ってはいない。だから、迷惑をかけずに煙草を吸いたいのだ。
そこに関する寛容さが、今の世の中にはないと思う。
極端な例をあげれば、SLが地方で走っている。あれほどの大気汚染はない。しかし、訪れる人は昔の文明を懐かしむ。
だれも大気汚染をあげつらう人はいない。
皆さんが、車に乗る。大気汚染は、喫煙の何万倍である。それを指摘するひとはいない。
あまりに、自動車産業はスケールが大きく、声を上げることができないのだ。
いろんなアンケートを取って、原因を推測する疫学調査は、あくまで参考にしかならないと感じる。
東京オリンピックでは、屋外喫煙はオーケーだと思って来日する外国人喫煙者がたくさんいる。
そういった人たちを、落胆させないよう、適切な分煙政策をとることが重要であるまいか。