[2014年3月27日]
川崎市庁舎内 全面禁煙が後退 次々新たに喫煙所
県が受動喫煙の防止条例を施行して間もなく四年。横浜市が三月末で庁舎内喫煙所を閉鎖する姿勢の一方、川崎市では条例施行以前は全面禁煙だった庁舎に喫煙所が増えた。「一般論として、受動喫煙のリスクを下げるには全面禁煙の方がよいのは言わずもがな」と県保健福祉局がん対策課。川崎市は後退する形になっている。
川崎市は二〇〇六年、受動喫煙の防止と快適な職場環境を目的に庁舎内全面禁煙の指針をまとめ、〇八年から実施した。
しかし、県条例施行の一〇年四月、条例を「排気設備が整備されていれば喫煙所を用意できる」と解釈し、指針を「完全分煙または屋内全面禁煙を確保」と改訂した。市議会で市議が「たばこは法律で認められる趣味嗜好(しこう)品。権利を尊重せよ」と繰り返し訴え、市庁舎を利用する市民からも喫煙所設置の要望が出たためだ。
現在、本庁舎は地下一階に、議場のある第二庁舎は八階に空気清浄機付き喫煙所がある。第三庁舎には一二年三月、屋外に密閉型の喫煙所をつくった。これまで喫煙所がなかった市内区役所でも一二年に高津、一三年に中原と新設。本庁舎では閉庁時間をすぎるころから周囲にたばこの臭いが漂うケースがある。
県が一三年四月に三十三市町村の対応を調べたところ、本庁舎、議会部分含め建物内禁煙、または敷地内禁煙を徹底しているのは、箱根町、藤沢市など二十四例だった。
横浜市は四月、職員向けには市庁舎屋上、市議向けには市庁舎と議会棟をつなぐ屋根のみの非常用通路に喫煙所をつくる方針。全面禁煙ではないが、これまでの屋内喫煙所について「設備を整えてきたが、ドアの開閉、喫煙者の衣服についた成分など受動喫煙をゼロにできなかった」(市総務局総務部管理課)としている。
川崎市職員厚生課も「目指すべきは全面禁煙で受動喫煙防止」という点は認めている。ただ、昨年十二月の市議会で福田紀彦市長が「喫煙所の設置を進める」と答弁したことがあってか、同課の見解はこうだ。
「今は段階的に、最善を尽くしている」
喫煙文化研究会の見解
受動喫煙防止条例が施行されている神奈川県内で、喫煙所が設置されるのはよいこと。
しかし、市長が変わるだけでころころ変わる政策はいかがなものでしょうか?
「美しい分煙」を進めていただきたいものです。