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[2014年2月10日]

たばこはリラックス呼吸法? 石井苗子さんコラム

タバコを吸う人のそばにいるだけで肺がんになる危険性のことを「間接喫煙」といい、解決策として「分煙」という文化を作り出したことで、私は喫煙の問題が一歩前進したと思っていました。タバコ代も値上がりし、吸う方は年間かなりの額をお財布から税金として出しているという現実もあります。ところが、分煙が新たな社会問題を作り出していることが分かりました。先日の勉強会で喫煙について「目から鱗
うろこ
」のような発表を聞きました。

 喫煙がストレス解消だというのは、実は本人が無意識のうちに行っている呼吸法がリラクゼーションにつながっているからだというのです。私はそういう見方をしたことがありませんでした。ストレス解消という漠然としたことや、ニコチンその他の化学物質は体に悪影響を与えるとか、さらにニコチンは依存症を引き起こすなど、もはや社会的に認知されていることばかりに目がむいていました。タバコの効用を呼吸法の効果と同列に見ることはしてきませんでした。まして喫煙は、1日平均3分間の呼吸法を何度かやっていることになる。それがリラクゼーションにつながっているのだとは乱暴な観察だとすら思いました。

 ところが、タバコを吸いながら同時に息を深く吐いているという動作がリラクゼーションにつながっていたという観察が行われ、これが同じ環境で働く非喫煙者の間で不満を生みだしているのです。つまり、分煙と称して、リラクゼーションタイムを就業時間中に勝手に作り出しているのは不公平だというのです。

 リラクゼーションには、ヨガを始め、あらゆる種類の「呼吸法」が用いられます。ゆっくり息を吐くことでリラックスする。たとえば、ひとつの仕事が「どうやら間に合った」といった時に、「ふう〜っ」と息を深く吐くことと同じ精神的な落ち着き、達成感などを感じることができるからです。これが、タバコを吸う人のリラクゼーションと関係があると勉強会で言われ驚きました。

 タバコは本人に負担がかかる職種の方がよく吸うように見受けます。作家、芸術家、芸能人、政治家、医師など、個人に責任が重くかかってくる仕事をしている人たちです。チームで働くとはいいながら結果的には、本人がどれだけ成果を出すかを周りが大きく期待していたり、依存をしていたりというような職種です。自分が成果をあげないと失業にまで追いやられるかもしれないというストレスが常につきまとう。俳優はタバコを吸わない人の方が珍しいほどで、若者も高齢者も喫煙者が多いようです。

 しかし、こうした人たちには共通点がひとつ考えられます。仕事をやり終えるまでの時間がそれぞれ異なることです。つまり自分の判断でタバコを吸う時間を決めることができる。タバコを吸って「ふ〜っ」と吐きだすときに、リラックスしているということです。何度もタバコが必要な人は、それだけ緊張が強いともいえますし、もはや依存症から抜け出せなくなっている人といえるでしょう。

 逆に、タバコをやめられた人は、なにか他のリラックス法を見つけ出した人なのでしょう。それがどんな理由であれ、精神面でニコチン依存をカットすることに成功した人といえるのではないでしょうか。

 問題は「タバコタイム」を自由に決められない職場にあります。勤務時間中に「タバコを吸ってきます」と言って席を立つ人は、「怠けているだけではないか」というクレームがついてしまうのです。それだけ現代社会は働いている人に余裕がないともいえるでしょう。あるいは分煙が引き起こした弊害かもしれません。吸わない人から見れば、分煙のために席を立ってから戻ってくるまで、給料は同じなのに自分の方が多く働いているという計算になります。こうした不公平感が高まると、就業時間中はタバコを吸ってはならない、喫煙は昼休みと就業時間以降、しかも分煙となります。タバコは昼休みだけになり、朝来てからずっと吸えないイライラをかかえてデスクにいるのでストレスもたまるでしょうし、トイレと嘘
うそ
をついて吸いにいくか、営業を作って外に出るようになるなど、色々と吸うための口実が考えられます。

 タバコを吸わなくても、呼吸法でリラックスできるのですが、タバコの恐ろしいほどの魅力に勝てる呼吸法はないのでは。タバコは味の違いまで感じる方もいらっしゃいます。嗜好
しこう
品とはよく言ったものですが、他の人を病気にさせてしまうような嗜好品って他にあるでしょうか。香料なども含め、他にないとは言い切れませんが、タバコほどは社会問題にはならないと思います。勤務時間中の分煙はどう解決していくのでしょうか。余談ですが、私が会社勤めをしていた時代には、なんと上司の机にある灰皿を洗うという仕事がありました。

これに対し、以下の意見を投稿しました。

喫煙文化研究会です。

たばこには、確かにリラクゼーション効果があります。それがニコチンだけという「誤解」が蔓延しているのは、悲しい限りです。
厚生労働省の調査で、たばこのがんへのリスクは、飲酒と同じ1.6倍です。対して、メタボリックシンドロームの危険性は32倍を超えることをご存知でしょうか?嗜好品で合法なものでこれだけ悪者扱いは悲しいです。
一方受動喫煙の危険性は1.02倍です。野菜不足の1.06倍、運動不足の1.20倍に比べると少ないことをご存知な方が少ないのは残念です。
しかしたばこを吸わない方の為に分煙する必要性はあります。ですのでたばこ価格への50円上乗せで屋外に完全密閉型喫煙室をつくるのは、何千億円もの予算が、喫煙者のみが支払う税金で確保出来るのです。これでも合法なたばこを悪者にしますか?

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