[2015年1月30日]
【どうなる東京都の受動喫煙防止対策】上 検討会の議論をどう集約するのか -日刊ゲンダイ
東京五輪に向けた都の受動喫煙防止対策について議論する「東京都受動喫煙防止対策検討会」の第3回が先週22日、都内で開催された(写真)。この日は関係団体からの意見聴取が行われ、東京都医師会、東京消費者団体連絡センター、東京都たばこ商業協同組合連合会、日本フードサービス協会の担当者が出席し、それぞれの立場からの意見を表明した。
冒頭、公衆衛生の専門家である日大医学部の大井田隆教授が受動喫煙の有害性について説明。米国保健省の公衆衛生総監報告書(2006年)が「論争は終わり」と指摘している点を強調した。続いて東京都医師会。「たばこはガンの最大の原因」「副流煙は主流煙より有害」など弊害を指摘した上で「8割の非喫煙者の健康を守るべき」と、条例化で屋内空間での全面禁煙という強硬意見を述べ、消費者団体連絡センターも条例制定を要望した。
たばこ商業協同組合連合会は、40年間にわたるマナー向上への取り組みなどを紹介。その上で、東京は他県のような一律的な条例ではなく「世界に誇れる分煙社会を」と訴えた。
最後は日本フードサービス協会が受動喫煙防止に向けた取り組みの実例を紹介。事業者、労働者と顧客が存在する外食店舗の特殊性、店舗の多様化といった実態を無視して一律に規制を課すことはマイナス影響が懸念されると指摘。物理的に分煙不可能の店も多い実情に触れ、業界への支援制度を求めた。
「今回の議論で目立ったのは全面禁煙を求める強硬派の意見。喫煙、受動喫煙の弊害を指摘する中で論文、データの紹介に終始しました。病理的なリスクが想定される点は分かります。では、どの成分がどういう理由で病気を発現させるのか。肝心な因果関係の説明がなかった。しかも『論争は終わった』を強調し、『8割の非喫煙者の健康を守るのが民主主義』と何が何でも禁煙! という姿勢には、違和感を覚えましたね。8割の非喫煙者のうち全面禁煙という厳しい規制を求めている人がどれだけいるのか。声が大きい勢力の意向がそのまま反映されてしまうのは、今の世の中の危うい風潮と一緒。今後の座長の取りまとめが注目されます」